(12) 本章のまとめ
①単式蒸留器には三つの大きな機能があります。
・缶液の揮発成分の蒸発による分離
・缶液の温度上昇による含有成分の化学的な変化
・精留機能:蒸気の分縮による高沸点成分濃度の減少、低沸点成分濃度の上昇
②単式蒸留機の精留機能は、平衡蒸留回数により評価することができます。化学工学で用いられる理論段数は整数なので、理論段数が3以下である単式蒸留機の評価には、小数点以下まで算出した平衡蒸留回数が適しています。
③単式蒸留器の精留機能は、小数点第一位まで算出した理論段数により評価することができました。
④単式蒸留器の理論段数は留出速度が小さいほど大きく、蒸留条件によっては理論段数は2.0以上になることを認めました。
⑤酢酸500ppmを含有する1.0%v/vエタノール水溶液を蒸留する時、エタノールに関する理論段数が大きいほど酸度が低下することを確認しました。
⑥単式蒸留器の理論段数は蒸留器内での分縮に大きく影響されました。
⑦分縮器を備えていない単式蒸留器においては、前半は留出速度を大きく、後半は小さくする(前急後緩蒸留)と、留出液のアルコール濃度は高く、酸度は低くなりました。
⑧フルフラールは理論段数の大きな蒸留器で時間をかけて蒸留すると、蒸留の後半著しく増加しました。
⑨留出液中の沸点の高い香気成分は、前急後緩蒸留によると減少しました。