本章の内容
(1) 純物質の沸騰と沸点
(2) 純物質の蒸気圧の温度による変化
(3) エタノール水溶液の沸騰
(4) 濃度の異なるエタノール水溶液の沸点
(5) 溶液の組成と蒸気組成の関係・・・・・・・気液平衡
(6) 沸点曲線と露点曲線
(7) 濃度の表記方法
(8) 引用文献
(1) 純物質の沸騰と沸点
ビーカーに水を入れ加熱すると、最初小さな気泡が発生します。これは水に溶けている空気が分離したものです。加熱を続けると泡は次第に大きくなります。この泡には、初めは空気が含まれていますが、次第に水の蒸気だけになります。水の場合、適度な加熱により蒸気の泡が連続して発生している時、1気圧では100.0℃に保たれます。この状態は「沸騰」と呼ばれています。
沸騰している時、液面に近い泡の内部の圧力は大気圧に等しく、そのため液中に泡として存在できます(図2-1)。 沸騰している時の液温は「沸点(boiling point、bp.)」と呼ばれています。純粋な物質からなる液体の1気圧における沸点は固有の温度であり、物質の重要な性質として便覧等に記載されています。1気圧における水の沸点は100.0℃、エタノールの沸点は78.3℃です。
(図2-1)

