本章の内容
(1) はじめに
(2) 従来の常圧単式蒸留機の長所
(3) 従来の常圧単式蒸留機の短所と問題点
(4) 単式蒸留機の特性
(5) 従来の単式蒸留機の短所の解決方法
(6) 単式蒸留機の機能の変更方法
(7) 引用文献
(1) はじめに
・焼酎(単)製造に広く用いられているポットスチル型単式蒸留機は、やかん(薬缶)と同様の構造をしています。中に醪を入れて加熱し、蒸気を留出させるだけの装置であり、それ以外の用途には使用できない単機能の装置です。
・ポットスチル型蒸留機の内部に棚段を設け、棚段に部品を着脱することにより、蒸留機能を変更することが可能となります。棚段に取り付ける部品の工夫次第で種々の形式の蒸留が可能です。蒸留機の内部に棚段を有する蒸留機を以後有孔棚段付多機能単式蒸留機と呼びます。
・有孔棚段付多機能単式蒸留機の棚段に各種の部品を着脱することにより、従来のポットスチル型蒸留機の短所を改善し、従来のポットスチル型蒸留機と同様の蒸留のほか、限られた範囲内ではありますが留出液の高沸点成分濃度や酸度が調節可能な蒸留機を目的としています。
・本蒸留機は多機能単式蒸留機の一種です。分縮器付き単式蒸留機や常圧・減圧兼用単式蒸留機も多機能単式蒸留機の一種と言えます。単式蒸留機に機能性を付与する分縮器、減圧蒸留及び棚段等を利用する技術は組み合わせて用いることが可能です。