8 循環型蒸留機(試案)

 

(8) 本章のまとめ

 循環型蒸留機は、再蒸留部で生じる分縮液の一定量を再蒸留部に溜め、余剰の凝縮液は溢流管により仕込部に流下する構造であり、仕込部から上昇する蒸気を、バブルキャップから再蒸留部貯留液中に注入しながら蒸留します。この形式の棚段は、化学工場等で広く用いられている棚段式精留塔の一段分に相当します。
 棚段に蒸気導管を装着する方法や、蒸気導管の上端にバブルキャップを載置する方法は再蒸留型蒸留機と同様です。
 本形式により醪を蒸留する場合、再蒸留部に一定量の凝縮液が溜まり、凝縮液に蒸気が注入されて、再び蒸発しますから、棚段付き蒸留機より高沸点成分濃度や酸度が低く、より軽快な香味になります。また、還流量が多いほど軽快な香味になります。しかし、仕込液の加熱時間は短縮されないので、フルフラール類の濃度は減少せず、仕込液の加熱時間が同程度であれば、通常の単式蒸留機と同程度となります。
本装置における留出液組成は5個の蒸留操作要素(装置)により調節することができます。

 

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