(6) 単式蒸留機の機能の変更方法
① 研究室における蒸留装置の機能の変更方法
研究室では、共通すり合わせガラス器具を組み合わせて、実験装置を組み立てることは、日常的に行われています。
例えば、図4-5に掲げたように、丸底フラスコ、連結管及び冷却器を組み合わせると単式蒸留装置になります。
同じ丸底フラスコに、ソックスレー抽出器と冷却器を組み合わせると、ソックスレー抽出装置にすることができます。

② 焼酎(単)製造工場における蒸留装置の機能の変更方法
パーツの組合せによる実験装置の機能変更の原理は、焼酎(単)製造工場における単式蒸留機にも応用できます。しかし、数トンもあるようなパーツの組み替えは実用的ではありません。
図4-6のように、ポットスチル型単式蒸留機の内部に、孔のある棚段を設けると、その孔に着脱可能な部品を装着することにより、蒸留機能を変更することができます(文献 4-1)。

有孔棚段付多機能単式蒸留機の棚に部品を取り付け、蒸留機能を変更する形式は色色考えられますが、本稿では図4-6、4-7のように
・再蒸留型蒸留機
・循環型蒸留機
の2形式を提案します。
再蒸留型は、留出液のフルフラール類の濃度を低くすることのできる蒸留形式(文献4-2)です。
循環型は1段式泡鐘棚段型であり、碇らは、2段式の泡鐘棚段付単式蒸留機について、高沸点成分濃度が低下したと報告しています(文献4-3)。
泡鐘棚段は連続式棚段型蒸留塔に多く用いられている蒸留形式です。
有孔棚段付多機能単式蒸留機については次章で詳しく述べます。

有孔棚段付多機能単式蒸留機への部品の装着による蒸留機の形式の変更方法。
(注):(+・・・)は部品にさらに別の部品を取り付けることを意味します。