2 二日酔いの起こる機構と軽減策

(2) アルコールの分解反応
 アルコール脱水素酵素及びアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)は補酵素と結合して初めて活性が現れます。これは有名な反応で補酵素はNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、酸化型NAD)という物質です。NADは相手から水素を奪って NADH(還元型NAD) に変化します。アルコール脱水素酵素は触媒であり、エタノールの酸化反応が起きても存在量は変化しませんが、NAD は反応により消費され、減少します。NADは補酵素と呼ばれ、酵素の働きを助ける酵素のように聞こえますが、酵素ではなくて反応物質そのもの(基質)で、エタノール1分子に対し NAD も1分子反応し消費されます(文献 2-1, 2-4, 2-5)。
 アルコール脱水素酵素とNADの作用によりエタノールがアセトアルデヒドに変化する時、反応する物質だけを記述すると反応式は式2-1のように表すことができます。
 これは大変な反応で、エタノール(分子量46.1)を46.1g(1モル)分解するためには、 NAD(分子量663.4) は 663.4g(1モル) 必要であることを示しています。NADは名前から分かるように分子構造は複雑で分子量の大きな物質です。

 

 

 

 

 

(3) アセトアルデヒドの分解
 アセトアルデヒドはアセトアルデヒド脱水素酵素の作用で酢酸になります(文献2-1、2-4)。酵素は変化しないので、反応する物質だけを記述すると反応式は式2-2のようになります。
 この反応でもアセトアルデヒド を44.1g解するためには、 NAD はエタノール分解反応と同様に、 663.4g 必要であることを示しています。
 酒を飲んだ場合、エタノールが全部反応式2-1及び2-2で処理されると、エタノール46.1gを酢酸まで分解するのに NAD は 1326.8g 必要であることを意味しています。
 反応式2-1及び2-2により生じたNADH は、体内で多くの反応により NAD に再生されます。通常はNAD の消費と、NADH の再生はバランスが保たれていますが、多量のエタノールを短時間に飲むと、このバランスがくずれる可能性があります。

 

 

 

 

 

 

 

              「(4) ナイアシン ]に進む                  

Pages: 1 2 3 4 5 6 7