5 二日酔いしやすい酒

(3) 日本酒は悪酔いしやすいか?
 二日酔いの原因の一つが体内のNAD不足によるものであり、NADはアルコールだけではなく糖質によっても消費され、二日酔いに影響するという観点に立てば、酒に関する通説についても、迷信または原因不明とされてきたことも明確に説明することができます。
 図5-1は国税庁の全国市販酒調査による昭和52年から平成5年における清酒のアルコール分及びエキス分の変化(文献5-4)、図5-2は平成8年から平成30年における清酒のアルコール分及びエキス分の変化です(文献5-5)。
エキス分は昭和52年以来減り続けていましたが、平成22年頃から変化は小さくなっています。 平成30年度は、一般酒日本酒度の全国平均は+3.7、アルコール15.27%、エキス分4.51と報告されています。
 昭和52年度の清酒のエキス分の全国平均はアルコール分15.9%、エキス分6.3ですが、式2-8により、清酒100ml当たりのNAD全負担量を計算すると20.0(EtOHml/100ml)になります。したがって、焼酎のようにエキス分ゼロの酒類であれば、消化におけるNAD負担はアルコール分20%の酒と同等だったということになります。
 昭和52年度と平成30年度について、前記の式2-7により計算すると表5-1のようになります。表5-1に示すように、この清酒100mlはアルコール分15.9%の焼酎約126mlに相当することになります。
 昭和52年頃と比べると、最近の清酒は飲酒後の負担が少なくなっていると言えます。「景気が悪い時は甘い酒が売れる」という説を聞いたことがあります。「エキス分の多い甘い酒は飲みごたえがあるから、少しの酒で満足できる」というようにも解釈できます。

図5-1 昭和52年度~平成5年度の国税庁調査による全国市販酒の平均値(文献5-4)

 

あ図5-2 平成8~平成30年度の国税庁調査による全国市販酒の平均値(文献5-5)

 

表5-1 エタノールに換算したNAD全負担量(エタノールml/100ml) (注)昭和52年度は図5-1より算出した。

 

 特定名称酒の最近の傾向を図5-3に示します。吟醸酒は酸度が低く、エキス分つまり糖質が少なくても辛く感じないタイプの清酒ですが、図5-3は、平均的には吟醸酒のエキス分の減少傾向が続いていることを示しています。最近、吟醸酒がよく飲まれているようですが、吟醸酒は酔い覚めが爽やかであることが影響しているのかも知れません。吟醸酒が身体に優しい酒であることは経験上感じています。

図5-3 特定名称酒のエキス分の経年変化(文献5-5)

 

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