5 二日酔いしやすい酒

(2) 糖質を含む酒類の消化におけるNAD負担量
 酒類の原料である糖質とエタノールはよく似た経路で消化され、特にNADの消費に関しては重なり合っています。糖質とエタノールの消化によってNADが消費されてNADHとなり、NADHの再生速度がNADの消費速度より小さい場合は、細胞内のNADが減少し、アセトアルデヒドの分解速度が低下し、エタノールとアセトアルデヒドが体内に残留する時間が長くなり、弊害が長引くことになります。
 前章3-5で述べたように、グルコース1.0 g消化するのに、エタノール0.51g(0.64ml)を消化するのと同量のNADが必要です。
したがって、糖質を含んでいる酒類を飲んだ場合の、消化におけるNAD消費による負担は、酒類に含まれるアルコールと糖質による負担の和であり、糖質をグルコースと仮定すれば、エタノールに換算して表すことができます。
 酒類について、含まれている不揮発性成分量はエキス分として表示されており、エキス分は酒類100mlに含まれる不揮発成分のグラム数です(酒税法第3条)。
 清酒の場合、エキス分の主成分はグルコースです。清酒100mlを飲んだ場合の消化において、含まれているエキス分の消化におけるNAD負担量は、エキス分をグルコースと仮定すると、グルコース1.0(g/100ml)はエタノール0.64(ml/100ml)に相当することから、エタノールに換算すると式 (2-7)のように表すことができます。
     NE= E×0.644                     (2-7)
 NE:清酒に含まれるエキス分をグルコースとして、清酒を100ml飲んだ場合の、エキス分によるNAD負担量をエタノールに換算した値(エタノールml/100ml)
 E :エキス分(g/100ml)

 アルコール分は清酒100ml中のエタノールのml数(酒税法第3条)ですから、エキス分(E)をグルコースとし、清酒を100ml飲んだ場合のNAD全負担量をNAとすると、NAは式 (2-8)のように表すことができます。
     NA= A + E×0.644                   (2-8)
 A :アルコール分(ml/100ml)
 E :エキス分(g/100ml)
 N:清酒に含まれるエキス分をグルコースとして、清酒を100ml飲んだ場合の、アルコール分とエキス分によるNAD負担量をエタノールに換算した値(エタノールml/100ml)

 

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