本章の内容
(1) 酒税法による「単式蒸留機」の定義
(2)「単式蒸留機」という用語の歴史的な経緯
(3)「単式蒸留機」と化学工学における「単蒸留による蒸留機」の相違
(4) 文献における用語「単式蒸留機」
(5) 蒸留機能による単式蒸留機の分類
(6) まとめ
(7) 引用文献
はじめに
「単式蒸留機」という用語はアルコール製造や酒類醸造分野で古くから使用されてきましたが、平成18年3月31日に改正された酒税法で「単式蒸留機」が定義され、法律上の用語ともなっています。
一方、化学工学では「単蒸留」という概念があり、「単式蒸留」と「単蒸留」は混乱が見られるので、単式蒸留機について記述するに当たり整理しておきます。
(1) 酒税法による「単式蒸留機」の定義
酒税法ではアルコール含有物を連続式蒸留機により蒸留した酒類は「連続式蒸留焼酎」、単式蒸留機により蒸留した酒類は「単式蒸留焼酎」であり、「単式蒸留機」は「連続式蒸留機以外の蒸留機」と定義されています。
「連続式蒸留機」とは「連続して供給されるアルコール含有物を蒸留しつつ、フーゼル油、アルデヒドその他不純物を取り除くことができる蒸留機」と規定されています。
したがって、酒税法における「単式蒸留機」は一定の形状の蒸留機を意味していないので、色色な形の蒸留機が可能です。
連続的に原料を供給し、連続的に留出液を取り出す形式の蒸留機は化学工業では広く使用されており、連続式蒸留機と呼ばれていますが、「連続して供給されるアルコール含有物を蒸留しつつ、フーゼル油、アルデヒドその他不純物を取り除く」機能がなければ、酒税法では単式蒸留機に相当します。
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左側から減圧蒸留機、常圧蒸留機
町田酒造(株)提供