第3章 単式蒸留機の機能

 

3-10  単式蒸留器による醪の蒸留における留出液成分に影響する要因 (文献3-6)

    図3-9 に掲げた単式蒸留器を用い、黒糖焼酎醪(アルコール分16.1 vol%)、500nlを原料とし、留出速度または蒸留時間と留出液組成の関係を検討しました。
    次の実験を行いました。Run Aの留出速度はRun Bの約2倍です。
   Run A:濃縮塔長は18.5cm、平均留出速度は6.18 L・m-2・h-1。
   Run B:濃縮塔張は18.5cm、平均留出速度は3.18 L・m-2・h-1。
    単式蒸留器は一定の加熱量で蒸留を行うと、留出速度は次第に小さくなるので、この実験においては、設定した留出速度が小さくならないように蒸留缶加熱用電圧を徐々に上昇しました。
 なお、フルフラールは測定方法が煩雑なので、フルフラール濃度と相関の高い275nmにおける紫外部吸収を測定しました。

      図3-9  に掲げた単式蒸留器を用い、黒糖焼酎醪(アルコール分16.1 vol%)を原料とし、留出率(原料に対する留出液の割合(%))と留出液組成の関係を検討しました。Run Aの留出速度はRun Bの約2倍です。
   Run A:濃縮塔長は18.5cm、平均留出速度は6.18 L・m-2・h-1
   Run B:濃縮塔張は18.5cm、平均留出速度は3.18 L・m-2・h-1

    

 

     図3-15~17は留出液を12.5mlずつ分取して分析した結果です。Run Aの留出速度はRun Bの約2倍です。図3-15、16について、Run AとRun Bを比較すると、Run Aはアルコール濃度は低く、酸度は高く推移しています。
    図3-17、18は紫外部吸収(275nm)の蒸留経過を表しています。図3-18から時間をかけてゆっくり蒸留するとフルフラールが増加することは明らかです。
 分取した留出液のアルコール濃度が約10%v/vまでの分を混合して混和留出液(原液)として分析し、比較しやすいようにアルコール濃度25%v/vに換算した値を表3-1に掲げました。
   留出速度の小さなRun AはRun Bに比べ、アルコール濃度は低く、酸度は高くなりました。これらのことは、図3-12に掲げた、留出速度が大きいほど、Neは小さくなることと一致しています。

                                 表3-1   留出液の分析値                           (注)留出液原液は分割採取した留出液の約10%v/vまでの区分を混和した液。

 [本節のまとめ]
①時間かけてゆっくり蒸留すると、理論段数が大きくなり留出液のアルコール濃度は高く、酸度は低くなるが、蒸留時間が長くなるのでフルフラール類の濃度は高くなる。
②短時間に速く蒸留すると、その逆になる。

 

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