第6章 再蒸留型蒸留機に関する研究及び実証蒸留機

6-3 ガラス製再蒸留型蒸留器による蒸留

前述の方法により、留出液のフルフラール類濃度の低下を確認するためガラス製再蒸留型蒸留器を用いて蒸留試験を行った。

6-3-1 実験方法

  図6-2は蒸留機内部構造が複雑であり実用的でないので、図6-3のように1段目を仕込部、2段目を再蒸留部とし、仕込部で発生した蒸気を蒸気導管により再留部へ導入する構造として実験を行いました。

(図6-3)
図6-3 再蒸留型実験装置

 

 再蒸留型蒸留器の留出液組成は再蒸留部内の蒸気導管上端に載置したキャップの形状に大きく影響されるので、図6-4に掲げた、平板状及びバブルキャップについて実験を行いました。

(図6-4)
図 6-4 キャップの形状
A:平板状キャップ B:バブルキャップ

 

6-3-2  ガラス製再蒸留型蒸留器によるエタノール水溶液の蒸留試験結果

 図6-3に掲げた実験装置を用いてエタノール水溶液(16.0%v/v)、500mlを蒸留した結果を図6-5に掲げます。留出液を12.5ml(仕込液の2.5%)毎に採取し、同時に仕込部液及び再蒸留部液を採取しました。また、再蒸留部を取り外して通常の単式蒸留器型とし、対照としました。
 再蒸留型では、仕込部液のアルコール濃度が1%以下になったとき仕込部への蒸気注入を停止し、再蒸留部へ蒸気注入を開始しました。
 再蒸留型蒸留器による留出液、再蒸留部液及び仕込部液のエタノール濃度変化は図6-5の通りでした。仕込部液のエタノール濃度が0.75%v/v(採取区分N0.5)まで低下するのに要した時間は44分間であったのに対し、対照の留出液のエタノール濃度が10.75%v/v(採取区分No.12)まで低下するのに要した時間は91分間であり、再蒸留型蒸留器における仕込部液の加熱時間は対照の48.4%で、醪の蒸留においてはフルフラール類の濃度減少に効果があると推察されました。

図6-5 再蒸留型蒸留器によるエタノール水溶液の蒸留

6-3-3 ガラス製再蒸留型蒸留器による醪の蒸留(文献6-2)

 図6-3に掲げた実験装置を用い、再蒸留部のキャップは平板状及びバブルキャップ(図6-4参照)として、黒糖焼酎醪(alc.16.30%v/v、酸度6.60)、500mlを蒸留した結果を図6-6に掲げます。再蒸留型では、張り込み量の17.5%が留出するまで(図6-6の矢印)、仕込液へスチームを注入しました。図6-6には留出液のアルコール濃度、酸度及び紫外部吸収の変化を掲げました。なお、フルフラール類の分析は煩雑なので、フルフラール類の濃度と相関の高い275nmにおける吸光度を測定しました。表6-1には、分割採取した留出液の、初留からアルコール分約10%v/vまでの画分を混和した液の分析値を掲げました。 
 この実験結果は、再蒸留型蒸留機がこげ臭の低減に効果的であることを示しています。この実験の詳細については文献6-2をご覧下さい。

図6-6 再蒸留型蒸留機による醪の蒸留(文献6-2

 

表6-1

       表6-1 再蒸留型蒸留機による醪の蒸留による留出液の分析結果(文献6-2)

(注)留出液混和原液は分割採取した留出液の、初留からアルコール分約10%v/vまでの画分を混和した液。

 

 

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