第2部第2章 二日酔いの起こる機構と軽減策

2-1-4 ナイアシン
 NAD は体内でナイアシン(ニコチン酸)から変換されます。したがって、ナイアシンは二日酔いの原因であるアセトアルデヒドの分解に役立ち、二日酔いを防止する機能があります(文献2-5)。したがって、NADはナイアシンを含んでいる食品を食べると補充されます。ナイアシンはかつお、さば、ぶり、いわし、まぐろ、牛肉、レバー、卵類、豆類などに多く含まれています(文献2-5)。ナイアシンは以前はビタミンB3と呼ばれていましたが、ナイアシンは前記したように、酸化反応に従って減少するので、ビタミン類には該当せず、物質名で呼ばれています。
 ナイアシンは、トリプトファンというアミノ酸から体内で合成されます。トリプトファンはたんぱく質に1%前後含まれており、トリプトファン 60mg につきナイアシン 1mg が生成するという換算率が使用されています(文献2-5)。したがって、前項で述べた二日酔い予防策の内、酒を飲む時は肉、魚肉、豆類などの良質なタンパク質を豊富に含む食品を食べた方が良い(文献2-6)ということと合致します。また、ナイアシンはビタミンB複合剤に含まれていることから、同剤が二日酔いの予防に有効である(文献2-7)ということも合致します。
 なお、ナイアシンは過剰に摂取すると障害が起きると言われており、一日当たりの推奨摂取量は20代男性で約15mg、女性で約12mg と報告されています(文献2-5)。

 

2-1-5 まとめ
 本項では、酒を飲むとエタノールとアセトアルデヒドの分解にNADが必要であり、酒を多量飲むとNADが不足することがあるが、NADは良質のタンパク質やナイアシンを含む食品から補充可能であることを述べました。
 しかし、エタノールがアセトアルデヒドを経て酢酸に酸化される時、エタノールからアセトアルデヒドが生成する反応速度と、アセトアルデヒドから酢酸が生成する反応速度が等しい場合は、アセトアルデヒドの存在量は変化せず、アセトアルデヒドによる障害は起きないようにも思われます。次項では二日酔いが起きる機構について考察します。
 なお、肝臓の働き及び二日酔いの原因は非常に複雑(文献2-4)とされていますが、本稿ではNADの動向にしぼって考察を進めます。

 

 

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